抄録
ヒト (成人および新生児) とマウスの赤血球の切片を透過電子顕微鏡でしらべ, 赤血球の付属構造を認めた. この付属構造は主に赤血球辺縁肥厚部にある, およそ0.5μ径の球状突起で, 細い茎で赤血球に連なっていた. 内部は多数の小胞で充たされていた.
この構造はその位置と大きさから, 走査型電子顕微鏡で赤血球の“いぼ”として認められるもの (TOKUNAGA, FUJITA and HATTORI, 1969) に相当するものであろう. また内部の小胞は未熟赤血球の段階で機能があった細胞器官の残遺膜であって, ここに述べた付属構造の形で細胞外に出されるものと推論した.