Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ネズミ有郭乳頭の味蕾の微細構造
宇賀 茂三
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1969 年 31 巻 1 号 p. 59-72

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抄録
成熟シロネズミ有郭乳頭における味蕾細胞は明細胞と暗細胞の2型に区別できる.
1. 明細胞は暗細胞に較べて大型で円形の核をもち, 細胞質には特有のライソゾームや小空胞を含んでいる. 細胞頂部には味孔底部に終る不規則で短い絨毛がある.
2. 暗細胞は細長い小さな核をもち, 細胞質によく発達した粗面小胞体や多数の小顆粒を含んでいる. 細胞頂部から味孔の外の自由表面に向かって桿状の細胞突起が突出している. また暗細胞は明細胞をとり囲むように配列し, その関係は神経線維とシュワン細胞のそれに似ている.
3. 味蕾内の神経線維は棍棒状と結節状の2型に大別できる. 神経線維は明細胞と暗細胞の両方に接触しているが, シナプス結合は前者との間にのみ形成されている.
4. これらの特徴から明細胞が味細胞であると同定した.
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© 国際組織細胞学会
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