Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
“隣接切片対応法”による下等脊椎動物の膵臓ランゲルハンス島の研究
渡 仲三塚越 昇本間 義治
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1970 年 31 巻 3-4 号 p. 371-392

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抄録
アオダイショウ (Elaphe climacophora) とブリ (Seriola quinqueradiata) の膵臓ランゲルハンス島を光学ならびに電子顕微鏡で観察した. エポン包埋組織を薄切して電子顕微鏡で観察し, その直後の切片を厚切してアルデヒドチオニン-ヘマトキシリン-フロキシンBで染色し, 光学顕微鏡で観察した. この方法によれば, 同一細胞の電子顕微鏡像と光学顕微鏡像を対比できる. その結果次の所見が得られた.
1. ヘビの膵島のA細胞の分泌顆粒は光顕では赤染するが, 電顕で見ると, 暗調の小さい顆粒とより明調の大きい顆粒とが混在する. B細胞の分泌顆粒は光顕では青染するが, 電顕では暗調の球形顆粒をもつ細胞と, より明調の結晶状顆粒をもつ細胞とが見られる. 顆粒はしばしば6角形をなし, 内部に約90Åの周期性構造を認める.
2. ブリの膵島にはA, B, C細胞が存在する. A細胞は光顕では赤染顆粒をもち, これは電顕では暗調の球形顆粒である. B細胞は2種類に細分されるが, B1細胞の顆粒は光顕では濃青色を呈し, 電顕では結晶性を示し, 時に6角結晶状をなす. B2細胞の顆粒は光顕では淡青色を呈し, 電顕では明調の球形ないし不整形を呈するが, 少数の顆粒は針状結晶を含む. C細胞は光顕で分泌顆粒を認めえない細胞で, 電顕で2型に細分される. C1細胞は多数の空胞をもち, C2細胞は粗面小胞体の発達したやや暗調な細胞である.
3. ブリ膵島のB1, B2, C1細胞の間には移行型が認められるので, これらの細胞はB細胞の異なる機能を示すものと思われる. C2細胞もA細胞との間に移行があり, A細胞の脱顆粒した細胞と思われる.
4. B細胞の顆粒放出様式は一般にV型方式と考えられて来たが, ブリの膵島で結晶顆粒のIV型放出も明示された.
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© 国際組織細胞学会
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