Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ヒトの幽門前庭の内分泌細胞. 生検組織の電子顕微鏡による観察
笹川 力小林 繁藤田 恒夫
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1970 年 32 巻 3 号 p. 275-288

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抄録
7人の患者から 胃フアイバースコープによる直視下に採取した 幽門前庭の粘膜を電子顕微鏡で観察した. 前庭粘膜の深部に 少なくとも4型の基底顆粒細胞が見いだされた.
1. 腸クロム親性細胞は 十二指腸におけるより少ない. その亜型と思われるもので, 空胞化した顆粒をもつ細胞が見いだされた.
2. G細胞は まるい胞体と部分的に空胞化した基底顆粒を特徴とするもので, 4型中もっとも多く出現し, ガストリン分泌細胞と考えられる.
3. 第3型と仮称される細胞には, 暗調の小型円形顆粒が斑紋状に分布し, 細胞質フイラメントが豊富に出現する.
4. “胃のD様細胞”と仮称される細胞は, その微細構造において膵臓のD細胞および十二指腸のD様細胞と区別ができない. その出現頻度は十二指腸より ずっと低い.
5. すべての型の基底顆粒細胞において, 細い細胞質突起が上方へ伸びて上皮表面に達し, 微絨毛をもって内腔へ突出している. ガストリンおよび他の前庭ホルモンの分泌における負のフイードバックの機構を, 細胞のこの微細構造から説明できると考えた.
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© 国際組織細胞学会
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