ヒト胃癌細胞から樹立した2つの細胞系 (SC6809, SCLvM6901) を材料にして, その分裂像を走査電子顕微鏡で観察した.
1. 単層になって増殖し分裂間期にある細胞は扁平で, 隣接する細胞と細胞との境界は不明である. 核は周囲の細胞質より陥凹して見える. しかし核小体は突出している.
2. 分裂期に入ると扁平な細胞が球形に盛り上がり, 細胞表面には微絨毛と思われる細長い細胞質の突起 (径0.15μ) が放射状に突出している像と, 微絨毛より太く長い突起 (径0.6μ) が突出している像とが見られる.
3. 細胞分裂終期において, 2個の娘細胞は微細な細胞質の突起の束によって結合されている.
4. 盛り上がった分裂期の細胞表面は微細な顆粒状の構造を呈する. この構造は通常みられる細胞表面の微絨毛にくらべて短かく太い (径0.6μ). これは培養細胞を位相差顕微鏡映画撮影で観察するさい認められる bubbling に相当すると思われる.