抄録
ヒトの耳道腺 すなわち外耳道に分布するアポクリン汗腺を 透過および走査電子顕微鏡で観察した.
腺細胞は非常によく発達した滑面小胞体とゴルジ装置を含有する. 粗面小胞体は しばしば大きな球状の糸粒体に密に接近している. これらの大きな糸粒体は分泌顆粒と直接の関係をもたない. ゴルジ層板の陥凹面の近くに いくつかの細管がみられる. これらのゴルジ装置に附属した細管に特異な暗調物質が貯留し, 大きな暗調分泌前顆粒を生ずる. その中に多数の明調空胞が発生し, その表面から分離する. このようにして生じた空胞は, 細胞遊離表面の方に移動し, その内容を開口様式により放出する. これらの空胞のうちのいくつかは, 細胞質のひきちぎり (分離) によっても腺腔に放出される. これは いわゆる離出 (アポクリン) 分泌である.
酸性ホスファターゼの活性は 暗調な分泌前顆粒にあらわれるのみならず, 細胞の先端部に位置する明るい空胞や腺腔にも出現する. このような組織化学的所見は, アポクリン汗腺の分泌物が ライソゾームに他ならない分泌前顆粒に由来する加水分解酵素をふくみ, これらの酵素が 離出分泌によって腺腔に放出された物質の 消化分解に資するものであろうことを示唆する.
走査電子顕微鏡によって, いろいろな大きさのアポクリン分泌突起を腺腔表面に観察した.