ヒトの外耳道 アポクリン腺の筋上皮細胞を 透過および走査電子顕微鏡で観察した.
筋上皮細胞は長さ約100-150μm, 幅3-5μmの 長い線維状の細胞で, 互に平行に配列し, その長軸は腺管自身の長軸に平行である. 細胞の先端は しばしば鋭利にとがっていて, 次第に細くなる側面をもって, 隣接する細胞と側面結合をなし, あるいは やや鈍円な先端を有して, 隣接細胞の同様な先端と末端結合を形成することもある.
筋上皮細胞はデスモゾームによって互に結合するとともに, 腺細胞との間にもデスモゾームが存在する. また基底膜に接触する細胞基底面には, ところどころ電子密度の高い所があり, 表皮細胞の半デスモゾームに類似する. 腺細胞の形質膜は よく発達した ひだを形成するが, 筋上皮細胞の表面には きわめて少数の陥入や突出がみられるにすぎない. 腺細胞と筋上皮細胞との間が比較的接着装置に乏しいことは 腺細胞を剥離して, 筋上皮細胞を露出させ, 走査電子顕微鏡で観察することを容易にしている.
筋上皮細胞の核をふくむ部分は やや隆起して, 腺上皮内に突入する. 核をとりかこむ細胞質辺縁部には, 小さいゴルジ装置と いくつかの他の小器官がふくまれている. 筋上皮細胞の基底側半部には, 細胞の長軸に平行に走る多数の筋細糸が密につまっている. 細い筋細糸と太い筋細糸が存在するが, その配列には規則性はない. 筋細糸と平行して微細管がしばしば対をなしてあらわれる.
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