Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
マウス卵巣の卵胞膜細胞の細胞分化に関する電子顕微鏡的研究
日浦 昌道藤田 尚男
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1977 年 40 巻 2 号 p. 95-105

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抄録
マウス卵巣を用いて卵胞膜細胞が どのような細胞から どのようにして つくられるかを微細構造レベルで観察した. 原始卵胞の周りには線維芽細胞様の細胞がみられるが, 二次卵胞やグラーフ卵胞 (成熟卵胞) の周りには 3種類の細胞が認められる. すなわち 線維芽細胞様の細胞, 卵胞膜腺細胞 (ステロイド分泌細胞), 両者の移行型と思われる細胞である.
線維芽細胞様の細胞には よく発達した粗面小胞体, 中等度に発達したゴルジ装置, 層板状クリスタをもつ細長いミトコンドリア, 少数の脂肪滴, 遊離リボゾームが存在する. 卵胞膜腺細胞は大きな楕円形の核, 豊富な脂肪滴, 管状クリスタをもつミトコンドリア, 滑面小胞体が特徴的である. 線維芽細胞様の細胞と卵胞膜腺細胞との移行型と思われる細胞には, 種々の段階があり, よく分化したものは 主として円形あるいは卵円形の核, 脂肪滴, 管状クリスタと層板状クリスタの混在するミトコンドリア, 少数の滑面小胞体を有している.
卵胞膜腺細胞は線維芽細胞様の細胞に由来すると考えられ, その指標は第一に脂肪滴の出現, 第二にミトコンドリアのクリスタの変化, 最後に滑面小胞体の出現である. どのような成熟卵胞においても, またPMS (妊馬血清性腺刺激ホルモン), HCG (人胎盤性腺刺激ホルモン) 投与後の成熟卵胞においてその周囲にはやはり3種類の細胞が存在する. この場合の線維芽細胞様の細胞には卵胞膜腺細胞に分化する能力はないものと推測される.
ゆえに 卵胞膜腺細胞は線維芽細胞様の細胞に由来することは確実であるが, 卵胞をとりまく線維芽細胞様の細胞のすべてが腺細胞に分化する能力を有するのではないと考えられる.
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© 国際組織細胞学会
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