Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
脊椎動物心筋膜系構造の比較研究
柴田 洋三郎
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1977 年 40 巻 5 号 p. 391-406

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抄録
脊椎動物のすべての綱 (マウス, モグラ, スズメ, ヤモリ, カエル, ニジマス, ヤツメウナギ) の心室筋を, 凍結破断法と超薄切片法により, 細胞膜の特殊分化構造について, 電子顕微鏡的に比較した.
筋線維直径の計測では, 哺乳類の平均11.5μmに比して, それ以外のものはすべて平均5μm以下であった.
T管系は細胞外トレーサーによっても, 哺乳類以外にはみとめられなかった.
筋小胞体はヤモリとカエルとでは発達が悪く, その他では良く発達していた.
ネクサス (ギャップ結合) をすべての脊椎動物心筋にみとめたが, 哺乳類の広汎な発達に比して, 下等動物心筋では著しく小さく (0.5μm以下), 出現頻度も低かった.
以上の結果から, 哺乳類と非哺乳類のあいだに認められる心筋の微細構造の相違に関して, 両者の心筋線維直径の差異と関連づけて検討した.
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© 国際組織細胞学会
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