Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ニホンザル精嚢の走査電子顕微鏡的観察, とくに大食細胞による嚢腔内精子たべこみについて
村上 正浩杉田 新島田 達生吉村 正
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1978 年 41 巻 3 号 p. 275-283

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抄録

成熟ニホンザルの精嚢を走査電子顕微鏡で観察した. 多数の精子が嚢腔表面に散在し, そのあるものは正常の形態を保っているが, あるものは崩壊している. 精嚢の内腔面を縁どる上皮細胞は線毛を欠き, 軽く内腔に向け突出しており, 均等に分布した微絨毛を備えている. 割断面で見ると, 上皮は分泌性の円柱細胞と ときにその間に介在する基底細胞ら構成されており, ほかの動物で これまでに報告された 透過電子顕微鏡による所見とよく一致する.
この研究で特記すべき所見は, 上皮表面に多数の大食細胞が在存することであり, またこれら大食細胞が崩壊した精子を大量にたべこんでいることである. 大食細胞は何らかのきっかけで精嚢腔にはいり込んだ精子の除去を行なうのであろう.

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© 国際組織細胞学会
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