1978 年 41 巻 4 号 p. 377-384
正常なコウモリとニワトリの非分裂時期肝細胞における中心子の存在を電子顕微鏡で観察した. 両動物において中心子は肝細胞の毛細胆管に近い先端部細胞質領域にあり, コウモリでは中心子を輪状に囲む明暈が明瞭であるが, ニワトリでは不明瞭である. 肝細胞の中心子を見つけるのはあまりむずかしくないが, ニワトリでは毛細胆管を囲む4∼6個の肝細胞の細くなった先端部細胞質領域にあるので, コウモリの場合より容易に見つかる. われわれはニワトリの方が肝細胞における中心子の出現頻度が多いという印象をもった. コウモリとニワトリの中心子はほとんど双中心子で, 3個以上の中心子や中心子の増殖は見られなかった. 両動物の肝細胞の中心子から単一線毛が形成される像は見られなかった.