抄録
下垂体副腎系の種々な実験条件における前葉の微細構造を電子顕微鏡で研究中に, 下垂体前葉の毛細血管周囲結合組織内あるいは腺細胞間に無髄神経線維および神経終末が出現することを見出した. 神経線維の微細構造は今回実施したような実験によっては変化しない.
神経線維と終末は種々の大きさの小胞や小管を含み, これは多かれ少なかれ暗調の物質を充たしている. 神経分泌果粒に類似する大きさの暗調果粒を有することがあり, 時として神経終末外に開口放出されている. 成長ホルモン産生細胞が最もしばしば神経終末と接触しており, 副腎皮質刺激ホルモン産生細胞がこれに次ぐ. これらの神経終末の機能は充分には明らかにされていないが, おそらく下垂体前葉の内分泌機能に関連を有すると思われる. 神経線維はしばしば血管にともなっているけれども, 血管運動神経であるとは考えられない.