雌雄両性マウスの腹膜腔自由細胞を生後1日から120日まで定量形態学的に検索した.
腹膜腔自由細胞の総数は加齢とともに増加する. 生後40日以降の増加は雌性で雄性より著明で, 思春期以後, 細胞総数は性差を示す. コールターカウンターで腹膜腔自由細胞の大きさを求めると, その度数分布曲線は3峰性で, 大きさの異なる3種の細胞から構成されることを示唆する. 3種の細胞は, 光学顕微鏡で観察すると, 小リンパ球 (I型), 中型単核細胞 (II型), 大食細胞 (III型) に相当する. 新生仔期では, 細胞の約90%がIII型であり, I型とII型とは2%以下である. I型細胞は加齢とともに徐々に増加するが, 各齢期とも3型のうちで最も少ない. II型は加齢とともに急速に増加し, 思春期以後, 最も多い細胞となる. 思春期以降, II型は著明な性差を示し, 雌性では雄性より多い. III型は思春期までは最も多く, 加齢とともに増加するが, 思春期以降, その数は変化しない.
腹膜腔自由細胞総数およびII型細胞における性差は, 精巣の存在に起因するものと考えられる.
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