1981 年 44 巻 1 号 p. 87-93
癒顎類に属する 3種 (クサフグ, ゴマフグ, アミモンガラ) 計15個体の神経性下垂体内に, 血管嚢の組織の一部が迷入しているのが観察された. この迷入組織は, 充実した多管状の構造で, 神経葉の後部に, その組織内に埋まるなり, 背縁に付着するなりして 存在している. クサフグでは, 走査電子顕微鏡により 王冠細胞が漏斗の上衣層にも迷入分布しているのが示された. これらの迷入した王冠細胞が神経性下垂体内に侵入した経路を, とくに胚期における神経性下垂体と血管嚢組織との連絡を考慮して討議した.