ニホンザル, カニクイザル, ウサギ, モルモット, ラット, ゴールデンハムスター (以上哺乳類), ハト, ウズラ (以上鳥類), アカミミガメ (爬虫類), ウシガエル, イモリ (以上両生類), ウナギ, ドジョウ (以上魚類) の肝臓を電子顕微鏡で観察し, 神経線維の検索を行なった.
哺乳類と鳥類の肝臓は 肝小葉から構成され, グリソン鞘が発達している. 神経線維は調べられたすべての種で グリソン鞘にみられた. さらに ニホンザル, カニクイザル, ウサギ, モルモット, ハト, ウズラでは, 神経線維は肝小葉内にも侵入し, 直接 肝細胞に終っていた. 爬虫類, 両生類, 魚類の肝臓は, 肝細胞索の集合からなり, グリソン鞘は発達していない. アカミミガメでは, 神経線維は血管壁の結合組織や肝細胞に接してみられたが, 両生類や魚類では, 神経線維は少なく, ウシガエルとウナギにおいて わずかに結合組織中にみられたのみである.
以上の結果から, 肝臓の自律神経支配は, 肝小葉とグリソン鞘の発達した高等動物で顕著であり, このような神経支配により, 哺乳類や鳥類では, 肝機能の神経による調節が可能になったと考えられる.
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