Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
総胆管の結紮および再疎通による, モルモット肝細胞間接着形態のフリーズレプリカ観察
武藤 博孝
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1981 年 44 巻 4 号 p. 345-367

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抄録

モルモット肝の肝内胆管およびそれを形成する肝細胞間の接着形態を, フリーズレプリカ法でしらべた. 密着結合と細隙結合との形態と機能の関連をしらべるため, 総肝管の部位において結紮および再疎通させる手術が施された. 毛細胆管を形成する肝細胞間接着装置の所見は, 結紮後その典形的形態が損われ, 細隙結合の出現と消失, および密着結合の崩壊過程などがみられた. また正常肝ではみられない粒子群が発見された. 密着結合とこれら粒子群との関連は, 総胆管を再疎通させることにより, 後者が前者の再構築予備粒子群として機能していることが推察される.
総肝管の結紮により, 密着結合の崩壊が, 胆汁の肝細胞間間隙への侵入を促し, ついで肝細胞間解離による細隙結合の消失と, 胆汁のディッセ腔への侵入が, 黄疸を惹起させるものと思われる. これらの形態的変化は, 各モルモットの血清ビリルビンの測定値と符合した.

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© 国際組織細胞学会
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