Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
悪臭草ドクダミを貼用した二十日鼠の皮膚内の白血球様細胞の出現に就いて
白血球の局所発生の問題へ
植田 直秀
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1953 年 5 巻 2 号 p. 145-151

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抄録

化膿排出剤として民間に用いられる半焼のドクダミ葉を二十日鼠の皮膚に貼れば, 1時間後に毛包入口に近いところの結合組織に線組球と組織球が増し, 2時間後にはそこに輪状核を有する白血球様細胞が現れ, 3時間後には後者が増す. しかるにこれ等の時期にはまだ流血中にあるような多形核細胞が殆んど現れず, 多形核白血球が多く見られるのは4時間後からである. よく見れば, 小さな孔のある核を持つ線維細胞様のものから大きな孔の輪状核を持つ白血球様のものへ, あらゆる移行が認められる. 後にこれ等は種々の移行形をもって多形核白血球様細胞となり得る. 後期には表皮下に多形核白血球が甚だ多数となり, 表皮はこの細胞に浸潤せられ, 破壊せられる. かくて民間療法の化膿排出の目的が達せられることが分つた.

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© 国際組織細胞学会
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