抄録
固定せられた家兎の無核赤血球と鶏の有核赤血球に超音波を作用させ, その破壊状態を電子鏡検した. 作用時間の経過と共に, 常に先ず血球の中央部が毀れて孔が生じ, 次に胞体に割目が出来て分解し, 赤血球の中央部の抵抗の最も弱いことが知られた.
他方3種の分散度と色の違う染料を用いるアツァン染色により超音波作用による赤血球の超構密度の変化が観察された. 赤血球は橙より赤橙, 赤, 紫赤, 紫, 遂に青に染るようになる. 即ち次第に大分子の染料によく染るようになり, 赤血球の分子で組立てられた最も微細の構造も次第に疎化することが証明せられた.