抄録
雌犬尿道に於ても植物神経線維の終末は終網に依つて表わされ, 之は筋層内及び静脉叢周辺に特に著明に形成される.
雌犬尿道に対する知覚線維は犬膀胱 (渡辺) に於けるよりも稍々豊富に存し, 其終末は固有膜と上皮内に形成され, 前者では非分岐性及び単純性分岐性終末並びに糸毬状終末として表わされる. 前2者の多くは平等な太さの中等大線維から成る. 糸毬状終末は犬膀胱に於ける (渡辺) よりも量的に多く, 規模もより複雑且つ有被膜性であり, 陰部神経小体第II型所属のものと思考される.
尿道上皮内には犬膀胱に於ける (渡辺) よりもより多くの上皮内線維が発見される. 多くは非分岐, 時には単純性分岐性のもので, 上皮基底層及び中層内を波状走行の後, 尖鋭状又は鈍状に終る.