草食動物である家兎と肉食動物である猫の尿路と生殖器にある腺を除いて, 殆んど全身の主な腺の細胞の胞体と核が測定され比較観察された. 内分泌細胞の胞体と核は平均して猫よりも家兎に僅かながら大きい. 然るに内分泌細胞の核胞体比は猫に大きい. 即ち猫の内分泌腺細胞は比較的に大きい核を持つ. 内分泌細胞の胞体と核の大さの変異も亦猫に大きい. これは猫の内分泌系統が家兎のものよりも複雑に組成されているものと解せられる. 家兎のものに比べて猫の腺細胞の優越と複雑性は外分泌細胞に於て一層著しい. 即ち外分泌細胞の胞体も核も又核胞体比も平均して猫に大きい. 胞体と核の大さの変異も亦そうである. 次に内外分泌腺のすべての腺細胞につき概言するに, 平均して胞体の大さは両動物に大体等しいが, 核は家兎よりも猫に著しく大きいのである.