青森市民病院医誌
Print ISSN : 0914-7500
当科で経験したintracholecystic papillary neoplasmの1例
水上 藍 他
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キーワード: 胆嚢前癌病変
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2022 年 25 巻 1 号 p. 14-

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抄録
症例は50代女性で、人間ドックで胆嚢ポリープを指摘され、2年の経過後、腹部USでポリープの増大変化と造影CTで造影効果を伴う10㎜大の隆起性病変を指摘され、腫瘍性病変としてtotal biopsy目的に全層切除の腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行された.摘出胆嚢の頸部に低い隆起性病変を認め、組織学的には乾漆の乏しいback to backを示す胆嚢上皮の乳頭状増殖、一部管状増殖も認めた.粘液産生や胆嚢壁への進展は明らかではなかった.構造異形も高度であることからintracholecystic papillary neoplasm with high-grade intraepithelial neoplasiaと診断した.intracholecystic papillary neoplasm(ICPN)は胆嚢癌の前癌病変として比較的新しい病変概念であり、術前診断は難しく胆嚢癌との鑑別が問題となることもあり、今後IPCNの臨床像や病理像、画像等を検討していく必要があると思われる.今回胆嚢頸部に発生したIPCNの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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