物理教育通信
Online ISSN : 2433-4529
Print ISSN : 2423-8988
通常校の授業に役立つ盲学校の実験
石﨑 喜治
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ジャーナル 認証あり

2023 年 191 巻 p. 5-7

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抄録

筆者は,全国で唯一の国立の盲学校に35年間勤務し,中学部・高等部で物理を教えた。教え子の中には,数学科や物理学科に進学する者もいる。盲学校で学ぶ教科の内容は基本的に通常校と変わりないが,観察や実験をする方法や授業の進め方に独自の工夫がある。 視覚に障害のある生徒のための工夫は,実は通常校の生徒にとっても大いに役に立つものも多い。盲学校で工夫され続けてきた観察や実験の手法は,残念ながら通常校の先生たちには,全くと言っていいほど知られていない。そこで筆者は,盲学校で実践してきた物理の実験のうち,通常校の授業にも役立つ実験を集めて本にした[1]。この本には40以上の観察や実験を掲載してある。さらに,この本には,見よう見まねができない生徒が授業で初めて使う器具を使いこなし,生き生きと実験を行うための授業の進め方も掲載してある。その内容は「付録1 電気回路の最初の授業」を例にして具体的に詳細に示している。この授業は50分の授業の進め方の工夫が凝縮している。この授業の工夫は通常校の授業にも大いに役立つと確信する。 この本の中から2つの実験を紹介する。1つは握力計を使った力くらべであり,もう1つはラボラトリジャッキを使った浮力の実験である。

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