森林応用研究
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スギ・ヒノキクローンの成長特性の発現 : 15年間の集植林調査から
丹原 哲夫
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2001 年 10 巻 2 号 p. 55-59

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抄録
スギおよびヒノキクローンの生育初期における遺伝的成長特性の時系列的な発現を明らかにするために,17年生のクローン集植林において樹高と胸高直径を毎年測定した。樹高は3〜17年次に測定したが,3〜5年次の平均年成長量は両樹種とも0.2m以下で,植栽時の誤差要因の影響を受けクローンの反復率は年次によって変動した(スギ35〜46%,ヒノキ41〜56%)。6〜10年次には平均年成長量が両樹種とも0.4mとなり,スギでは反復間分散が増大したが,反復率は両樹種ともに安定化する傾向であった(スギ37〜41%,ヒノキ53〜58%)。さらに11〜17年次には平均年成長量がスギで0.9m,ヒノキで0.8mとなり,スギでは反復間分散が減少し,反復率は両樹種とも年々増大した(スギ52〜75%,ヒノキ56〜68%)。胸高直径は9〜17年次に測定し,平均年成長量は両樹種とも1.3cmであった。9〜10年次において特にヒノキでは個体サイズの影響を受け,またスギでは反復間分散が存在したため反復率は低レベル(スギ26〜32%,ヒノキ32〜33%)であった。しかし11〜17年次にはスギの反復間分散は減少し,反復率は両樹種とも年々増大した(スギ42〜61%.ヒノキ37〜78%)。すなわち遺伝的成長特性の発現において,特に樹高では年成長量の大きさが大きな要因となっていた。またスギでは反復間分散の影響を受け,ヒノキでは調査初期の胸高直径において個体サイズの影響がみられた。
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© 2001 応用森林学会
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