森林応用研究
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GISを利用した原単位法による四万十川流域の全窒素(TN)排出負荷量の推定
小谷 英司
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2003 年 12 巻 2 号 p. 99-107

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抄録

四万十川の清流保全の検討を目的として,GISを利用し,原単位法による四万十川流域の全窒素排出負荷量を推定した。四万十川中流にある家地川ダムによる分水を考慮した四万十川流域全体の全窒素(TN)排出負荷量は,1995年頃に4.9ton/dayであった。面源負荷の内で特に森林の負荷量は,2.1ton/dayであり,全体に占める割合は43%であった。原単位法による4つの負荷要因の割合は,生活排水14%,工業排水2%,畜産排水27%,面源負荷57%であった。森林からの負荷量は人為的影響が全く無い場合の基底量であるが,現状の排出負荷量は森林の2.3倍であった。広見川流域,梼原川流域,家地川ダム集水域,と主要な支流域の排出負荷量を推定した。支流域毎に負荷要因の割合が異なり,梼原川流域では森林の負荷量がほとんどを占めており,人為による影響が小さいが,これに比べて他の支流域では人為による負荷量の影響が大きかった。具同での排出負荷量と流達負荷量を比較した結果,それぞれ4.0ton/day,4.7ton/dayであり,同程度であった。流量-流達負荷量を検討した結果,増水が流達負荷量へ与える影響が大きいと推定した。

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© 2003 応用森林学会
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