抄録
カシノナガキクイムシが穿入して枯死したミズナラの丸太と立木に,3品種のシイタケ菌を植菌し,カシノナガキクイムシの脱出防止効果を検討した。丸太ではシイタケ品種間で脱出数に差が無く,シイタケ植菌した丸太とドリル穿孔した丸太間にも有意差は無かった。立木では,ドリル穿孔が無い無処理木での脱出数が最も多かったが,シイタケ植菌木およびドリル穿孔木と比較して有意差は無かった。PDA培地上でナラ菌の菌糸伸長阻害能力が最も高かった品種を植菌した立木からの脱出数が最も少なかったが,品種間およびドリル穿孔木と比較して有意差は無かった。以上のことから,シイタケ植菌による防除効果は否定はされなかったが,ドリル穿孔による乾燥がシイタケ植菌よりもカシノナガキクイムシの脱出数に強く影響したと考えられ,シイタケ植菌によるカシノナガキクイムシの脱出防止効果を明らかにすることができなかった。