麦芽エキス(ME)の添加が菌類4種(シイタケ,カワラタケ,ホウロクタケ,マスタケ)によるコナラ材中のリグニンと炭水化物の分解に及ぼす影響を純粋培養条件下で調べた。培養24週間後において,ME添加はカワラタケを接種した材の重量減少を促進したが,シイタケ,ホウロクタケ,マスタケでは材の重量減少にあまり影響しなかった。ME添加はカワラタケ,シイタケ,ホウロクタケのリグニン分解を促進し,さらにカワラタケでは炭水化物の分解も促進された。これら菌類にとって,材分解におけるエネルギー源,養分物質源としてMEが利用されたことが示された。ME添加はマスタケによる選択的な炭水化物の分解にはあまり影響しなかった。MEの効果は菌類の種ごとに異なると考えられた。