抄録
本研究では主業的林家の経営動向に関して,経営の課題と今後の見通しについて全国アンケート調査を通じて明らかにした。その結果,林家が林業を主業としているか否かは,今後の施業方針および今後の経営方針などの決定に大いに影響を与える要因であることが分かった。副業的林家にとっては,現時点で林業収入を上げる必要性が薄いために施業の委託化など,林業への投資を控える傾向が見られる。また,後継者のない林家において伐採跡地の広葉樹化を検討している割合が高く再造林放棄地も比較的多く見られる。一方で,主業的林家の中には木材生産の増大や森林の購入・面積拡大を図ろうとするものもある。今後の木材生産については,大規模所有層を中心として直営間伐による生産量の増大が見込まれる。