森林応用研究
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天然林におけるスギ天然更新技術の開発 : ヤナセスギ天然更新試験地におけるスギ稚樹の成立経過
鷹野 孝司
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2009 年 18 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

現在,高知県の東部に生育している天然スギのヤナセスギは一部の保存林を除き,伐採などにより減少傾向にある。また,後継樹となる更新木も天然更新によるものは極めて少ない状況であり,今後,天然更新によるヤナセスギの天然林復元は困難な状況であることから,天然更新方法を確立するため取組を始めたところである。調査開始後1年を経過した段階で得られた結果は次のとおりである:(1)稚樹の増減は,発生後の最初の秋期調査で本数の多かった調査区ほど,試験期間中の本数増加が多い,(2)面積の小さいヘリコプター集材で開いたギャップでは面積の大きい架線集材で開いたギャップに比べて稚樹の残存本数が多かった,(3)散乱光の透過率が50%を超えると稚樹の減少が見られた,(4)地表被覆による遮光率が高くなるほど,稚樹成立本数は少なくなる傾向が見られた,(5)被覆の影響はギャップ面積の違いに応じて異なることが示唆された。

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© 2009 応用森林学会
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