抄録
森林内における有機物,特にルートリターの量や直径に関連したメタンの発生特性についてはよく分かっていない。そこで本研究ではクローズドチャンバー法を用いてルートリターからのメタン発生の潜在性についての研究を行った。試験地は京都府南部の木津川市にある山城試験地とし,ここの渓畔域に樹木の根系が地下水面以下におかれた状況をモデル化したプロットを設置した。観測の結果,多くのルートリターが入ったソイルチャンバーからのメタン放出量が高かった。また,直径のサイズに関わらず特に20日目以降に放出量が高かった。これらの結果は樹木のルートリターが森林において重要なメタンソースとなりうる潜在性を持つことを示しており,さらにメタン発生源としてのルートリターに着目した研究が必要と考えられた。