抄録
マツノマダラカミキリの捕食性天敵のひとつであるオオコクヌストの産卵選好怪を野外網室で調べた。産卵はアカマツ丸太の折れまたは切り枝元の樹皮下に多く(全産卵数の72.4%),他に外樹皮下に27.6%みられたが,カッターでつけた内樹皮に至る人的な傷の下にはまったくみられなかった。また,マツノマダラカミキリ幼虫が存在する丸太に,存在しない丸太によりも多く産卵した。これらのことからオオコクヌストはマツ枯損木の臭いに定位したのち,寄主の存在を確認してから,産卵に適した場所,多くは折れ枝元の樹皮下を探索して産卵すると考えられた。