森林応用研究
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ハタネズミによる広葉樹の枝先摂食試験
北原 英治
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1997 年 6 巻 p. 147-150

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抄録

草食性の野ネズミが稚樹などを摂食して,その更新に関与しているかどうかはほとんど知られていない。これらの評価を行うために,予備試験として稚樹の代わりに広葉樹12種(ブナ,ミズメ,ミズナラ,キハダ,コシアブラ,オオカメノキ,ナナカマド,ミズキ,クロモジ,ウワミズザクラ,ホオノキおよびコミネカエデ)の開葉直後の枝先を用いた,ハタネズミによる摂食試験を1996年6・7月に行った。試験は森林総研関西支所の構内(京都市伏見区)に設置した野外柵にて行い,試験枝先は一晩ハタネズミ(成獣2頭,雄雌)に暴露した後,その摂食の様子を観察した。試験の結果,ハタネズミによる摂食は全ての樹種で見られた。さらに,選択的な摂食は,ナナカマド>ウワミズザクラ>コミネカエデ=クロモジ=オオカメノキ=コシアブラ>ブナ>キハダ>ホオノミ=ミズキ>ミズナラ>ミズメの順で起こり,広葉樹種で選択的に摂食されることが分かった。摂食試験を行った12種のうちでは,ナナカマドが最も選好され,ブナ,キハダ,などがほぼ中位であった。また,逆にミズメは最も選好されず,ハタネズミの摂食圧下でも生き残り個体が多く観察された。

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© 1997 応用森林学会
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