森林応用研究
Online ISSN : 2189-8294
Print ISSN : 1342-9493
ISSN-L : 1342-9493
倒木がナラ類集団枯損発生に与える影響
小林 正秀上田 明良野崎 愛
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 9 巻 2 号 p. 87-92

詳細
抄録

これまで,カシノナガキクイムシの関与するナラ類集団枯損が,倒木の発生によって助長される危険性が指摘されてきた。そこで,生立木の伐倒丸太を被害地に放置する実験を行った。その結果,カシノナガキクイムシは倒木に穿孔し,倒木周辺では主に斜面下部の立木が穿孔されて枯損木が発生した。また,カシノナガキクイムシは伐倒丸太でも繁殖可能で,1年間放置した伐倒丸太から集団枯損に関係すると考えられている病原菌が分離されたことから,伐倒丸太から羽化した成虫は病原菌を媒介する可能性が示唆された。また,風倒木が発生している被害林分を調査した結果,ナラ類集団枯損被害は風倒木を中心に拡大していることが明らかになった。以上のことから,倒木の放置によってナラ類の集団枯損が拡大することが明らかになった。

著者関連情報
© 2000 応用森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top