失語症研究
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原著
失語症の言語促進による書字過程の検討
種村 純
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1990 年 10 巻 4 号 p. 272-280

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抄録
単語の漢字・仮名の書称および書き取りの成績間に差を示す中度~軽度の失語症23例を対象として,単語の書字成績パターンと,遮断除去法に基づく言語モダリティ間促進から書字モダリティ間の関連性を検討した。各書字モダリティ成績の組合せから,対象例では書き取りが書称に比べて良好,漢字書字が仮名書字に比べて良好,仮名書字が漢字書字に比べて良好および全書字モダリティ不良の4型が認められた。促進は目標となる言語モダリティがある程度保たれており,前刺激モダリティと目標モダリティとが共通性が高い場合に認められた。その共通性は入カモダリティ,すなわち聴覚・視覚,よりも出力モダリティ,すなわちポインティング・発話・書字,の共通性によって,より大きな促進が得られた。さらに,処理する文字も前刺激・目標モダリティとも漢字同士,仮名同士の方がそうでない場合よりも良好であった。
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© 1990 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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