失語症研究
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原著
WAIS好成績を示したアルコールコルサコフ症候群の一例
—コルサコフ症候群の非均質性をめぐって—
村松 太郎鹿島 晴雄加藤 元一郎保崎 秀夫
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1991 年 11 巻 1 号 p. 11-16

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抄録

WAIS 121 と好成績のアルコールコルサコフ症候群 (AK症候群) の一例を経験した。症例は,振戦せん妄後,失見当識,作話,健忘を認める状態を約1ヵ月経たのち,現在に至る8年間は健忘,無欲を前景とする状態がほぼ不変のまま続いている60歳の男性である。神経心理学的には,記憶に関する検査での著しい成績低下と対照的に, WAIS, さらには Problem-solving の検査の成績は良好であった。また,新修正ウイスコンシンカード分類検査では前頭葉内側基底部損傷に近いパターンを示した。一般にAK症候群では,多彩な知的機能の障害を認めることが多く,本例のように clear-cut な神経心理学的所見が得られることはまれである。しかるに,AK症候群の本質的な徴候を知るためには,本例のように記憶にできるだけ限局した障害を持つ例の検討が必須であると示唆した。

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© 1991 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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