失語症研究
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原著
四肢の運動麻痺が目立たず重度の仮性球麻痺を呈する脳血管障害例の検討
大森 将田川 皓一山本 操福原 正代飯野 耕三
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1992 年 12 巻 3 号 p. 271-277

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抄録

四肢の運動麻痺が目立たないにもかかわらず重度の仮性球麻痺症状を呈した脳血管障害の5側を対象に責任病巣について検討を加えた。全例に共通する臨床症状は仮性球麻痺症状で,いずれも脳血管障害の再発作により声量の低下や嗄声,軟口蓋の挙上不良,舌の運動障害,流涎などを認め,重度の構音障害や嚥下障害を呈した。急性期から亜急性期にかけては,コミュニケーションに筆談を必要とし,経管栄養を実施した。一方,四肢の運動麻痺は目立たず,感情障害や知能障害,排尿障害は認めなかった。画像診断により,内包膝部ないしは放線冠,あるいは両者を含む両側性の病巣を確認することができた。内包膝部や放線冠に比較的限局した皮質延髄路の両側性障害により,下部脳神経領域に限局した重篤な核上性麻痺をきたしうると考えた。

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© 1992 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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