失語症研究
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原著
進行性失語症候群の1例
—病像と画像および鑑別診断—
村井 斎子森 寿子原 賢治安田 雄寺尾 章
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1992 年 12 巻 4 号 p. 337-344

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抄録

     進行性失語症候群の1症例を報告する。物品の呼称の障害が著しい健忘性失語で発症し,まもなくBroca失語を呈し発症後5年でほぼ全失語に至ったが,この時点でも高頻度使用語彙の聴覚的理解力・情緒などは保持されていた。現在まで性格や人格の変化は認められず,視覚認知機能も保たれている。
    CTでは初期に左Sylvius裂近傍の限局性萎縮が認められ,SPECTでは左前頭葉・側頭葉に限局した低集積領域が,後頭葉を残し次第に左半球全域に拡大し,次いで右半球へと及んでいく過程が認められた。
    SPECTは早期に病変を描出し,病像とよく相関していた。したがってSPECTは痴呆における高次機能の特徴的障害を描出する機能診断法として非常に有用であると考えられる。

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© 1992 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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