失語症研究
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教育講演
失行・失認のリハビリテーション
鎌倉 矩子
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1994 年 14 巻 2 号 p. 97-104

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抄録

リハビリテーションの世界において1960年代は,失行や失認という問題の存在に人々の目が向けられた時代であった。 1970年代は模索の時代であったが, 1980年代には種々の方法論が開花した。このような流れの中で,失われた脳機能の再建に向けられていた人々の関心は,包括的な脳機能訓練へと発展してきた。 1980年代に展開された方法論には,脳全体の機能強化を目指す認知訓練のほか,生活自立を目指す認知訓練,行動療法的訓練,問題解決型訓練などがあった。現時点に立って考えてみると,リハビリテーションのあるべきすがたは,患者の現実的な困難の調査と解析を出発点として,特定の欠落機能の再建および補〓と,全体的な脳機能の強化をともに実践することにあると思われる。目標は,個々の患者の脳機能に見合った生活の再建に置かれなければならない。意志と情緒の問題へのアプローチは,今後に残された重要な課題である。

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© 1994 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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