失語症研究
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シンポジウム 1 : functional MRI の現状と将来への展望
運動機能について
武田 克彦
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1999 年 19 巻 3 号 p. 163-169

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抄録
高度の空間分解能を利用した functional MRI などの脳機能マッピングの手法を用いて,運動のしくみを解明しようとしたいくつかの研究を紹介した。手の運動に関しては中心前回内の precentral knob と呼ばれる領域が重要であると述べた報告,舌の運動については両側の中心前回下部の関与を認めた報告を紹介した。運動のイメージ課題において運動前野や一次運動野での賦活を認めた研究に触れた。従来補足運動野 (SMA) とされていた領域は,より吻側に位置する pre SMA と尾側に位置する SMA proper とに分かれるとされ注目されている。 pre SMA の働きはまだ不明だが,外的刺激による運動の選択に関与するなどいくつかの考え方が提唱されている。今後のfMRIを用いた研究について,運動を行う際に脳内のいくつかの領域がどの順番で賦活されるのかという問題,運動麻痺の回復やリハビリの効果判定などにおいて fMRI の果たす役割が大きいことが期待されることを述べた。
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© 1999 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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