2009 年 57 巻 4 号 p. 587-593
異なる水流条件を施したクロマグロ種苗生産水槽(底面積19 m2,容量50 m3)において,飼育仔魚の沈降実態を調べるために潜水観察を行った。仔魚の沈降防止のために夜間に強通気を施した水槽(水槽1)と昼夜通して弱通気を施した水槽(水槽2)を設定した。各水槽において日齢2から8まで23時に潜水し,コドラートを用いて沈降している仔魚の数を計数した。水槽1では,沈降している仔魚の平均密度(個体数/0.01 m2, n=9)は2.44/0.01 m2以下であったのに対し,水槽2では水槽1より有意に高く,日齢5にピークが認められた(15.6/0.01 m2)。両水槽における生残率に顕著な差は認められなかったが,本研究の結果から,通気による飼育水の攪拌が水槽底面への仔魚の沈降個体数を減少させることが明らかとなった。