海藻食性魚類の筋肉の香気成分を比較した。山口県下関市蓋井島の海岸で2008年12月に採取したアイゴ,2009年1月および5月に採取したメジナおよび鹿児島県中甑島で2008年12月に採取したアオブダイ,イスズミおよびニザダイを実験に用いた。普通筋香気成分を固相マイクロ抽出を用いたガスクロマトグラフィー質量分析装置および電子嗅覚装置で分析するとともに,香気強度の官能検査を行った。ほぼ同時期に採取した5魚種は EN 分析でそれぞれ異なる香気成分組成を示しており,その中でもヘキサナールを多く含むアイゴならびに 3-メチル-1-ブタナール,2-メチル-1-ブタナールおよび 3-メチル-1-ブタノールを多く含むアオブダイは特異的であった。また,採取時期の異なるメジナは互いに大きく異なる香気成分を示した。官能的にはメジナが最も香気が弱いと判断された。