2014 年 62 巻 4 号 p. 445-452
発酵鶏糞施肥によるウグイ種苗生産池において動物プランクトン調査を湛水後38日間(2013年6月12日~7月19日)実施した。調査は野外の4池で行い,2池には湛水後14日に仔魚(各152,153千尾)を放養し,残り2池は対照池とした。動物プランクトンは合計15種出現し,全ての池でタマミジンコが多く,対照池ではツボワムシ属やケンミジンコ目が多かった。仔魚放養前はタマミジンコが優占し,最も多い池で最高1,801個体/100 ml が確認され(湛水後9日目),100個体/100 ml 以上の状態が9日間維持された(湛水後8~16日目)。仔魚放養後はタマミジンコ数が急減したので,ウグイが捕食したと考えられた。一方,対照池ではタマミジンコ密度が長期間維持された。ウグイ稚魚取上時の生残率(96%,51%)は,配合飼料給餌以前のタマミジンコ密度が高く,出現期間が長い池で高かった。種苗生産の初期生残向上には,仔魚放養時のタマミジンコ出現動向の確認が重要であると考えられた。