2016 年 64 巻 2 号 p. 139-146
ズワイガニの種苗生産過程において,第2ゾエア期幼生の正の走光性を利用した,飼育水槽間の移槽技術を開発した。ゾエアは,飼育水面上25 cm に設置した300 W レフランプからの直射光と飼育水槽中の水深25 cm に設置した発泡ポリスチレン製の反射板(30 cm×30 cm)により効率的に蝟集し,別の水槽へサイフォンで送られた。移槽時のホース内の流速を10 cm/秒としても,移槽しない対照区および 5 cm/秒と比較して,幼生は移槽による損傷を受けず,移槽後7日間の 1 l ビーカー内での生残率は低下しなかった。20 kl 容量の大型水槽を用いてゾエアを移槽すると,移槽からメガロパまでの生残率は,移槽した水槽で移槽しなかった水槽より約2倍に増大した。