水産増殖
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原著論文
海水型生物ろ過槽のろ材のアンモニア酸化活性とアンモニア酸化微生物に及ぼすアンモニア供給不足の影響
今井 正出濱 和弥坂見 知子高志 利宣森田 哲男今井 智山本 義久岡 雅一
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2018 年 66 巻 3 号 p. 243-250

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抄録

飼育終了後の生物ろ過槽の適切な管理方法を提示するため,アンモニアの供給不足がろ材のアンモニア酸化活性と硝化微生物群集に及ぼす影響を調査した。アンモニア酸化活性を測定したセラミックスろ材を人工海水中でアンモニアを添加せずに最長24週間維持した。活性は1週間後と2週間後ではそれぞれ開始時の97.8%と78.2%まで減少した。その後,24週後の5.4%まで徐々に低下した。24週間アンモニアが欠乏したろ材のアンモニア酸化古細菌の amoA 量は開始時と同程度であった。一方,アンモニア酸化細菌の amoA 量は半減した。これらの結果は,飼育終了後の生物ろ過槽の次の管理方法を導く:1) 高い活性を維持した状態でろ材を管理するためには,アンモニアの供給が毎週必要である。2) 長期間のアンモニアを供給せずに管理した場合には,次に使用する前にろ材を再活性化させるために促進剤としてのアンモニアの供給が必要である。

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© 2018 日本水産増殖学会
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