水産増殖
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湧水越冬ティラピア (Tilapia mossamdica) の養成に関する研究-II
夏期養成中の肥満度の変化
丸山 為蔵
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1963 年 11 巻 2 号 p. 73-79

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抄録

1) 湧水越冬したティラピアの夏期養成中にみられる成長に伴う肥満度の変化と季節的変化を調べ, また肥満度の変化と関係のある形態的な要素について検討した。
2) 前報で報告した成長成績と比較すると今回は非常に優れている。これは前報で明らかにしたように本種の比成長が体の大きさと著しい負の相関をする事実によるものと考えられる。
3) 本種の肥満度は7―8月頃高い値を示し, 以後低下していく, これは供試魚の多くがこの頃に成熟したためではないかと考えられる。従って本種の肥満度は成熟に伴って著しく増加し, 産卵後は摂餌が活発に行なわれないために低下するものと考えられる。
4) 体高指数 (10・体高/全長) と断面積指数 (10・体高・体幅/全長2) のいずれもが肥満度と明りょうな正の相関を有し, 特に断面積指数との相関は強く, 本種の肥満度が体形と密接な関連を有することが認められる。
5) 肥満度の増減変化が成熟, 産卵と密接な関係をもち, 本種の特徴である繁殖力のおう盛であること, および口中保育の習性が結果的に成長を阻害することになるので今後ティラピアの養成については雌雄, 別々に養殖するかあるいは, より効果的な養魚法の探究が必要である。更に魚体の可食部分について断面積指数では, はっきりとしないので魚体の枝肉についての調査を行なうことが必要であるものと考える。

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