水産増殖
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海水によるアユ種苗生産過程の病害研究-I
ビブリオ病およびアルテミア幼生中のビブリオ菌の除去効果
武田 雷介田畑 和男片嶋 一男
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1975 年 23 巻 2 号 p. 80-84

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抄録

1. 海水による種苗生産過程のふ化後33-42日のアユ仔魚に大量へい死が起こった。大量へい死が起こる2-3日前から肛門部周辺が白濁し, 腸管が膨満し, 不消化物が充満した病魚が観察された。
2. 細菌学的検査の結果, 罹病魚, 飼育水中のプランクトン, そしてアルテミア幼生から同一性状を示すVibrio anguillarumが分離され, 分離菌は病原性を有した。
3. 大量へい死の原因は, 消化不良に誘因された餌料アルテミア幼生に由来するビブリオ病と推定した。
4. アミテミア卵のふ化を行なうために, 砂濾過海水を培養水とした場合, 25℃, 48時間後には1.3×106cells/ml前後のビブリオ菌が検出された。
5. 培養水を0.45μ濾過海水, 煮沸海水, および人工海水にして, アルテミア幼生中のビブリオ菌を除去出来た。
6. 除菌アルテミア幼生を, ふ化後60日から80日間投与したところ, 例年130-150日に観察されたビブリオ病は全く起こらず, 除菌効果が認められた。

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