水産増殖
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バイの種苗生産に関する研究-I
陸上水槽における自然産卵について
平本 義春
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1976 年 24 巻 3 号 p. 83-88

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抄録

バイを用いて種苗の量産化技術の方式を確立することを目的として1973年5月21日から1973年9月25日まで地元 (鳥取県美保湾) でバイ籠網により漁獲されたバイを陸上のコンクリート製10トン水槽で飼育して効果的な採卵方法について検討し, 親貝の日間摂餌率, 自然産卵, 産卵数および採卵器, 卵のうの産出場所等について若干の知見を得た。
1) バイ籠網で漁獲されたバイ901個体 (雌の大きさ; 平均殻長66.09mm, 平均体重43.10g, 雄の大きさ; 平均殻長69.23mm, 平均体重48.32g, 性比1対1) をヒレグロを餌料として飼育した。飼育期間中水温が17.0-29.4℃の範囲内では産卵の盛期や外的刺激等がなければ日間摂餌率は水温が26, 27℃までは水温が高い程高くなったが, 28℃を越えるとやや減少傾向を示した。なお飼育期間中の日間摂餌率は1-4%の範囲内であった。
2) 産卵期は5月23日 (水温17.7℃)-9月17日 (水温24.7℃) であり, その盛期は6月中旬-7月中旬の40日間であって, この40日間に総産卵数の91.63%が産卵された。
3) 産卵期間中の平均雌親貝439.25個体による総産卵数は4,383,600粒であった。また雌1個体当りの平均産卵数は9,980粒であった。
4) 採卵器は青色のビニール波板 (長さ50cm) を内径が17-20cmの大きさで筒状にしたものを2個ずつ結び1組としたものと黒色のサンプレート (塩ビ製・厚さ1.0mm) を水槽側壁へはり付けたものの2者を使用した。この両者の採卵器で総産卵数の96.93%が採卵できた。

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