水産増殖
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生体染色による二枚貝類幼・稚仔の標識実験
田中 彌太郎
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1980 年 28 巻 3 号 p. 160-164

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抄録

二枚貝類の幼生および稚貝を大量に標識する技術を開発するため, 卵・幼生には中性赤を, 稚貝にはアリザリンレッドSをそれぞれ用いて生体染色した実験の結果,
1) 中性赤で染められたチョウセンハマグリの受精卵からふ化したD型幼生およびD型期で染められた幼生が生長し, 浮遊期間中その着色を維持するに必要, かつ安全な染色露出指数は, 卵の段階で処理する場合は1.0 (0.5ppm-2hs; 1ppm-1h; 2.5ppm-1/2h) , D型幼生期では2.0~2.5 (1ppm-2hs; 2.5ppm-lh; 5ppm-1/2h) が適している。
2) 平均殻長2.5mmのアカガイ稚貝は, アリザリンレッドS海水10~40ppmの3~7日間露出により, 処理時のあとを示す赤色生長遅滞輪が形成され, これが4.5か月間保たれて無処理個体と識別された。

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© 日本水産増殖学会
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