放流用種苗の生産技術を明らかにするため, イイダコのふ化飼育実験を試み, 次のような結果を得た。
1) 水槽に収容した7匹の親ダコは, 2, 000粒前後の卵を産み, その中から約400匹の仔ダコがふ化した。
2) A群 (500l水槽, 150匹) とB群 (1kl水槽, 200匹) のふ化仔ダコを飼育した結果, A群は98日後に外套長44mm, 全長150mm, 体重33.5gに, B群は78日後に37mm, 123mm, 19.9gに成長した。また, 生残率はA群33%, B群20%であった。
3) 餌料として, 成長とともにボウフラ, ヨコエビ, ヤドカリ, イソガニ, ビリンゴを採集し, 活きたまま与えた。また補助的に冷蔵したオキアミを給餌した。活餌は死餌に比べて摂餌が活発であるが, 活餌のみでは種苗量産は望めないので, 冷凍餌料や配合飼料の開発が必要である。