1992 年 40 巻 2 号 p. 121-129
1) ニジマスを母方, ニジマス, ヤマメ, ブラウントラウト, イワナ, アメマス, カワマスの6種を父方とするサケ科の同質または異質の2倍体および3倍体, 計12種類を作出し, その養殖特性を比較した。
2) いずれの組み合せからも, 浮上期を越えて生存する稚魚が得られたが, 異質2倍体の生残率は, 浮上30日後には両親の同じ異質3倍体のそれを下回り, 満1年に達したものはなかった。
3) 制限給餌下においた未成熟1年魚の日間増重率は, ニジマス, ニジアメ3倍体がニジマス2倍体より高く, 飽食給餌下では, ニジマス3倍体が最も優れていた。
4) 2年魚の成長率は, ニジマス, ニジイワ, ニジアメおよびニジカワ3倍体で生残率は同質・異質3倍体で, それぞれニジマス2倍体より有意に優れていた。性別にみた生残率は, 雌が雄より高く, その傾向は同質2倍体, 同3倍体, 異質3倍体の順に顕著であった。
5) 比体高, 比体幅では, ニジイワ, ニジブラ, ニジカワおよびニジアメ3倍体において, ニジマス2倍体より有意に大きかった。
6) ニジヤマ, ニジブラ, ニジイワ, ニジアメおよびニジカワ3倍体の核型はいずれもそれぞれ母方からの2ゲノムと父方からの1ゲノムを受け継いだと推定された。