1993 年 41 巻 3 号 p. 339-344
1.ブリふ化仔魚の活力判定のための一つの手法として, 飢餓耐性試験を行い, 無給餌生残指数 (SAI) により仔魚の活力を数値化することを試みた。
2.給餌飼育試験において, SAIが高い仔魚のロットほど日齢10までの初期生残率が高かった。
3.海水を静止させた条件下で浮上する仔魚と沈下する仔魚に分けてSAIを検討した結果, 浮上仔魚のSAIのほうが高かった。
4.由来と年齢の異なる親魚を用いて, 自然産卵と人工受精の両方から得られた仔魚を用いて試験を行った結果, 仔魚のSAIは親魚の由来あるいは採卵方法とは無関係に若齢魚ほど高い値を示した。
5.以上の結果から, ブリにおいてもSAIがふ化仔魚の活力を判定する指標として有効であると考えられた。
6.水温18~24℃の範囲において, 試験水温 (x1) とSAI (y1) との間に,
y1=-1.13x1+38.75
と, 有意な直線回帰が認められ, 水温20℃のSAI (y) への補正は,
y=y1+1.13 (x1-20)
により可能となった。
7.卵質判定項目とSAIとの関連性を検討した結果, ふ化率とSAIとの間に相関が認められた。